健康で活発な生活を送る鍵とは

何をしている時が楽しいですか?

Healthy Aging(健康的な加齢)とは、単に健康に年を重ねることではありません。生活の質を高めることを目的とした、健康的な行いを受け入れることを意味しています。9月は、Healthy Aging推奨月間です。これを受け、全米保健社会福祉局では多くの方が実りの多い、意義のある生活を送れるよう、さまざまな情報を提供しています。我々日系社会で生活する方々はどのように健康的な老化と向き合っているのでしょうか。コミュニティーの声を聞いてみました。

ビバリーヒルズにある寿司レストラン「Crazy Fish」のオーナー永戸幹雄さんは、1986年の第1回から毎年ロサンゼルスマラソンに参加しているレガシーランナーです。そんな偉業を成し遂げている永戸さんですが、本人はそれほど大変なことではなかったと言います。「30代の初めごろ、健康のために何か運動をしなければと思い、走り始めました。毎日できることをコツコツと続けて来た結果、気づいたら34年が過ぎていたと言う感じです」

永戸さんが数ある運動の中から走ることを選んだのは、一番シンプルで簡単だったからだそうです。「チームやパートナーを探す必要もなく、ランニングシューズさえあればどこでも1人で走れますからね」

「マラソンは頭脳戦」と永戸さんは言います。「走りながら常に自分の体調とペースを調整しています。自分を知るために自分の体と会話をしている感じです」。若い頃はタイムや記録にこだわったそうですが、年を重ねる毎に自分の体との会話を純粋に楽しむようになったと言います。今年のロサンゼルスマラソンは7時間で完走しました。永戸さんは、「屋外の開放的な雰囲気の中、自然と触れ合い、自分の世界を満喫しています。来年のレースも今から楽しみです」と話しています。

全米保健社会福祉局によると、地域社会とのつながりを維持することも健康的な老化を助けるとしています。それを実施しているのは、サウスベイの斉藤おさむさん。斉藤さんは、自身のスキルを生かし、ガーデナのケン中岡コミュニティーセンターで水彩画のクラスを教えています。「子どものころから自然と絵を描いていました。水彩画は、自分にとって哲学になっています」

斉藤さんは、自身はあまり社交的でなはないといいますが、アートを通じて人とつながる喜びを感じているといいます。「毎クラス、同窓会を開いているような感じです」。健康的に年を重ねるため斉藤さんはさらに、「意識して体を動かし、自分が好きなこと、楽しめることを毎日の日課としてこなすようにしています」と話しています。

リトル東京在住の鈴木健治さんも、好きなことを通じて健康的な生活を送っている一人です。鈴木さんにとっての楽しみ、それは、和菓子を一から作り、コミュニティーの方々に配ること。菓子職人だった父のもと、子供の頃から創作、想像力に魅了されてきました。

鈴木さんは週に3回ほど、自宅で和菓子作りに励み、コミュニティーの方々と共有しています。「お菓子作りがとにかく好きで楽しいです。それに、他にできることもないですし。和菓子をみなさんと共有することで人の役に立つことができ、幸せに感じています」。鈴木さんは一人暮らしですが、今まで一度も孤独だと感じたことはないといいます。和菓子作りの他に、毎日図書館へ行き読書も楽しんでいます。「本を読み、いろいろなことを考えることが脳への刺激になっていると思います」

ここまで読んで、「あら、私はマラソンを完走するほど体力がないわ」「アートのセンスも、繊細なお菓子を作る技術も持ち合わせていないなあ」と思った方、心配の必要はありません。これら以外にも、健康的な行いは多くあります。

人との関わりを持ち、脳に刺激を与えるため、杉田房江さんと山下さち子さんは、リトル東京にある多目的コミュニティースペース「ファーイースト・ラウンジ」で、マージャンを楽しんでいます。2年ほど前、山下さんが杉田さんにマージャンを勧めて以来、一緒に通うようになりました。杉田さんはすぐにルールや手順を覚え、以来クラスを楽しみにしています。杉田さんは、「マージャンは色々と考えさせられるので、脳にいい刺激になっています」と話しています。

杉田さんはマージャン以外にも日々、脳の体操を行なっているといいます。それは、日頃よく見かける人の名前を覚えるということ。例えば、いつも乗るバスの運転手や、サンドイッチ屋の店員、またよく行くスーパーの店員さんなど。また自分1人の時間には、「A」から始まる名前、「B」から始まる名前と、アルファベット順にできるだけ多くの名前を考える癖をつけているそうです。杉田さんは、こうやって脳の体操を楽しんでいると話してくれました。

ランニングや料理、絵描きや脳体操をはじめ、それが何であれ、活発な生活を送ることは、Healthy Agingにつながる鍵となります。今日からでも自身が楽しめる何かを始めてみてはいかがでしょうか。詳細は、全米保健社会福祉局のウェブサイトでも閲覧可能です。アドレスは、www.hhs.gov/aging/healthy-aging/index.html

 

ニュースレター「春夏秋冬」2019年夏号 に掲載されました。